ストーリー

どことなく奇妙な任務だった。
転送先、秘匿事項。任務期限、無期限。任務内容、現地通達。
転送された先は、これまで探索してきた場所とは異なるようだった。検索可能な語彙から該当するものをピックアップするとすれば、「古城」。長期間にわたって遺棄されたままの構造物だ。排除すべき機械生命体の反応はない。
「バンカーより任務の通達」
随行支援ユニットの無機質な声が2Bの音声センサーに飛び込んでくる。
「敵性存在『ソウルエッジ』の破壊命令を受諾」
敵性存在? 機械生命体ではないのか。
いずれにせよ――それが任務であれば、遂行されなくてはならない。
「推奨:敵性存在の探索」
チリ、と首部位のあたりに疼痛にも似た感覚が走る。センサー類のどこかに軽微な不具合が生じているらしい。アンドロイドにも「不吉な予感」というものがあるとすれば、2Bはまさにそれを感じていた。