アテネのパン屋の娘、カサンドラ。
婚礼をひかえた姉ソフィーティアが書き置きを残して姿を消してから、しばらくの時間が経った。心労で倒れた母の代わりとなって、弟ルキスとともに店を切り盛りする忙しい日々が続く……。
しかし、カサンドラには姉の行方に心当たりがあった。三年前、ソフィーティアが旅から帰ってきた時、家族たちですら、それが「邪剣を破壊する旅」であったという事実を受け入れることはできなかった。神託を受け、神の手にならぬ邪剣ソウルエッジを破壊する。いったい誰がそんな話を信じるだろうか? だが、ソフィーティアを助けた女忍者タキと直接顔を合わせたカサンドラだけはひそかにその言葉を信じていたのである。
もし、ふたたびソフィーティアが旅に出たのだとすれば、それはソウルエッジの復活を意味するのではないだろうか? そしてそのためには相応の武具が必要なはずだ。
姉が武具を手にするなら、きっと……。己の推論が正しいことを半ば確信しつつ、カサンドラは目指す場所へと走り出した。