シャンファは父親の顔を知らない。
北京の名門、チャイ家に名を連ねるシャンファの母親も、父親のことを多く語ろうとはしなかった。
幼い頃から続けてきた母親との剣術修行、それはぬくもりと厳しさを同時に感じることができる時間であり、何か大切な想いが込められていることはシャンファも察していた。それが父親と関係しているのだろうということも。
母親は数年前に亡くなった。
母から受け継いだ剣の道で生きていきたい――。
シャンファはその思いを日ごとに強くしていくのだった。