ウィッチャーならば誰でも、二種類の剣を携えている――鋼の剣と銀の剣である。
いずれも使い手に合わせて注意深く調整された最高品質の剣だが、用途については大きな違いがある。鋼の剣は主に対人の戦闘において用いられ、銀の剣は怪物を狩るために使われるのだ。
ウィッチャーの剣が隕石から精錬された金属によって造られている、というのは広く知られている話だ。隕石は遠い旅路を経てやってくる。そう、<力>の源たる地、水、火、風それぞれの魔力満ちた世界を通って……。そうした隕鉄から鍛えられた剣であれば、魔術的な存在に対して大きな威力を発揮するのだ。だが隕鉄の加工は極めて難しい。このため、より一般的な鉱石から精練された金属が用いられることもある、というのが実際のところである。
次元転移の最中にゲラルトが武器を失わなかったのは不幸中の幸いと言える。だがこの世界において、ウィッチャーの求める品質の武器が手に入るかどうかは疑わしい。彼は己の武器を念入りに保全しながら、多くの戦いに臨まなければならないだろう。