「騎士道の華」とも讃えられ、数々の勲功を上げた、さる高名な騎士が使ったとされる剣の名、それがアロンダイトである。
無論、元となる剣そのものは失われて久しく、グローが携えるのは誉れ高い名剣のレプリカである。だが特殊な鍛冶技術を用いて鍛えられた剣の鋭利さは、おそらくは名剣そのものに匹敵するか、それ以上のものであろう。
アヴァル機関はアロンダイト以外にも模造された過去の名剣を保有しているが、レプリカとはいえ、複数の「名剣」を打つことは認められていない。それらの剣はアヴァル機関の理念と誇り、そして栄光の時代の象徴なのである。
必然、名剣を帯びる者も、機関に実力、実績を認められた者のみとなる。研鑽を重ね、いくたびかの試練を経て「十二の座」を獲得したグローは、剣の師であるオーズルからアロンダイト・レプリカを譲り受けた。だが蒼騎士討伐任務失敗の責を問われ「座」を剥奪された今、状況は極めて微妙となっている。組織内の混乱もあり、その処分は留保されているが、名剣を携える資格を保つため、グローはふたたび己の力を機関に示す必要があるだろう。