琉球に伝わる古武術のひとつに、ヌンチャクを扱うものがある。
二つの棍を鎖で連結したこの独特の武器は、片方の棍の根元部分を手に持ち、もう片方を振り回すことで、回転運動の際に生じる打撃力を攻撃に用いる。振り抜いたもう片方の棍を素早く受け止め、さらに次の攻撃へと連携させていく技法もヌンチャクならではのもので、初撃の隙をなくしつつ、重ねるようにして次の一撃を放つことができるのである。
たいへん扱いの難しい武器ではあるが、マキシのような熟達者の手になれば恐るべき連続攻撃を可能とする。「七閃」の名が示すがごとく、七つもの「型」を経由して途切れなく繰り出される打撃の嵐は相手を翻弄し、その中から見切ることの困難な必殺の一撃が閃いて敵の急所を貫くのである。
七閃架裏破手の基礎は琉球武術だが、マキシは他流の技を取り込むこともあった。とりわけ、父親の商船に乗り合わせた明の武術家――チャン・ウーと名乗った――から学んだ技術は、幾度も改良を加え、みずからの血肉としている。