成家道場の一人娘にふさわしく、大刀術をよく修め、抜群の体さばきを身につけていたソン・ミナ。
しかし旅先でアイヴィーに手もなく敗れた彼女は、己の力量不足を痛感する。
人一倍負けん気の強い彼女がそのまま黙っているはずはない。戦いをきっかけに出会った男、クンは真行山臨勝寺の棍法に習熟していた。なかば無理矢理にクンに弟子入りしたミナは、彼女としては辛抱強く修行を続ける。もとより武術に才能ある彼女のこと、驚くべき早さで臨勝寺棍法の技を自分のものとしていった。
重心移動を巧みに行うことで華奢な身体からは想像もつかない力で繰り出される斬馬刀の一撃に、小回りの利く棍術の技と駆け引きの妙が加わった形である。いつしかミナの腕前は、旅に出た当初よりもはるかに高い水準へと達していた。