夜空の黒を混ぜ込んだかのような暗い蒼色の鎧、頭部全体を覆う兜の隙間からは鈍色の赤に光る目玉、隆起した大木の根を思わせる異形の右腕、そして携えた大剣の中心には呪われた瞳……。
そんな化け物じみた者が現実に存在するだろうか?
それは夜の訪れと共に闇からにじみ出すように現れ、収穫の頃合いを迎えた麦穂を刈るようにして人の命を奪い去るのだという。
恐怖と絶望の象徴、ナイトメア。人々がそれをおとぎ話や流言飛語の類ではなく現実の存在と知る時、それは致命の一撃を受けて事切れる間際に他ならない。