武器「雨月・影打」

神伝対馬流宗家・九重家に伝わる一振りの仕込み刀。かつて多くの伝承者と共にあった名刀であるが、己の剣に疑問を擁いた一人の男と共に九重家を離れ、彼の死と共に弟子である雪華へと渡るに至る。
彼女は師を想い、この刀を艶やかな衣で覆うことにした。拵えを変えた雨月・影打は彼女の想いを漏らすことなく、雪華の手に抱かれている。彼女がその技を以て刃を走らせるとき、そこには今は亡き師の面影が共にあるのだ。
なお、雨月には真打が存在する。刀鍛冶が日本刀を打つ際には一本ではなく数本の刀を打ち、そのうち最も出来の良いものを真打と称して納める。残りは手元に置くが、その真打以外の物を影打と称する。雨月・真打は手がけた刀鍛冶に生涯最高の一振りと言わしめた業物であるが、三代前の伝承者によって九重家に縁のある叢雲神社へと奉納された後、何者かに持ち去られ行方知れずとなっている。