流派「我流」

戦士としての体格に恵まれているとは言えないジークフリートだが、あえて不釣り合いな大剣、ツヴァイハンダーを獲物に選んだ。
その闘法は力任せにも見えるが、大重量を巧みに使いこなして攻防に活かし、体勢を入れ替えながら最小限の動きで攻撃を繰り出すなど、意外にも緻密な工夫がなされている。強引に間合いを詰めてしまえばいかようにでも攻め立てられる、といった浅はかな考えを持った者は、渦巻く斬撃に翻弄され、飲まれて散るさだめだろう。
切り裂くと言うより押しつぶすような斬撃は到底、防具などで防ぎ得るものではなく、唸りを上げて放たれたツヴァイハンダーの一撃が直撃すれば、即、勝負を決する致命傷となる。
ジークフリートがナイトメアであった頃の名残は、一度は異形化した右腕に色濃く残されている。彼が傷つき追い詰められた時、悪夢は顕現し、蒼い炎となって彼を責めさいなむのだ。だが遺された邪剣の力をも、ジークフリートは戦闘に活用しつつある。そう、これは彼が「彼自身」として生きるための戦いなのだ。