叉刃拐は本来、奉納剣舞に使用する祭具である。
「最後の巫女」と言われ、幼い頃から祭祀に関わる知識と技術を授けられてきたタリムの手元には、いつも先祖より伝えられてきた一対の叉刃拐があった。鋭い刃のあしらわれた叉刃拐は扱いを誤れば自分の身を傷つけることにもなるが、それを学ぶことも巫女としての修行のひとつだった。
巫女は剣舞の中、自然と一体となり、直観を得る。その時、嚮導の役割を果たすのが叉刃拐である。たとえ厳しい戦いの中であっても、叉刃拐を手にしている限り、タリムは剣舞を奉納する時と同じ平静なる心でいられるのだ。